景観デザインを目指せ

重山陽一郎の個人ブログ blog.enviro-studio.net
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ロ−ヴェントール歩道橋(1992) シュライヒの橋(その6)
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1992年に建設されたロ−ヴェントール歩道橋(Fußgängersteg und Ranknetz am Löwentor, Löwentor Pedestrian Bridge and Net)は、シュライヒ(Jörg Schlaich)の橋の中でも、かなり有名なものです。交差点を覆うようにネットを張って、その上にコンクリートの床板を渡してあるという珍しい構造なので、橋のデザインの本などに紹介されることも多いですね。
 
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この橋のデザインを理解するためには、まず、この橋が1993年のシュトゥットガルト国際園芸博覧会(International Garden Exhibition)の会場整備のために建設されたことを把握する必要があると思います。この橋は、ライプフリード庭園(Leibfriedscher Garten)とローゼンシュタイン公園(Rosensteinpark)を結ぶ橋で、シュトゥットガルトのグリーンUを構成しています。
上の写真はライプフリード庭園から四阿ごしに橋の方向を見ています。ライプフリード庭園は高台にあり....

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一方、反対側のローゼンシュタイン公園は低いので、右のスロープを上って橋を渡ります。

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ライプフリード庭園から渡り始めると、ネットはあまり目立ちません。

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ネットに植物が絡んでいますが、これは意図されたことだそうです。しかし、10年以上経ってもこの程度ということは、ひょっとしたらデザインの意図に反して時々剪定されているのかもしれませんが....
 
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あるいは時間が経つとネットが植物に覆われて、緑の空飛ぶ絨毯の上を渡る感じになるかもしれません(^^)

GoogleMapの航空写真で見ると、道路を斜めに横断していることが分かります。右の公園(ローゼンシュタイン公園)の入り口である「ライオン門(Löwentor)」が交差点に面して立地しており、これを避けるためには斜めに架けるしかなかったようです。当初は橋でなく地下道案も検討されたものの、費用の観点から橋になったそうです。

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このような橋のアイデアそのものは、そんなに斬新だとは思いませんが、現実に作ってしまうのはスゴイですね。シュライヒの作品集によると、シュライヒは彼がデザインに関わったミュンヘン・オリンピアシュタディオン(Olympiastadion München)の屋根の上を建設中に歩いているときに、思いついたらしいです。

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ケーブルは2本ずつペアになっており...

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メインケーブルのクランプのところで輪になっているようです。

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メインケーブルは、地中にがっちりアンカーされているようです。

20060729_219 - バージョン 3
マストは、片側3本ずつで、計6本。

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マストが倒れないように、ネットとは反対側に引っ張ってあります。

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マストは中央分離帯などを利用して立っています。このマストに車がぶつかったらどうするんだ?と心配になります。日本だったら、マスト周辺に必ずガードレールを設置することになり、景観的には残念な結果になるのですが、リスクを背負ってますね。
また、中央分離帯があるんだったら、無理せずに橋脚を立てて普通の橋にしたら?と思ってしまうのですが、そこが冒頭で書いた「国際園芸博覧会」というコンテキストのなせる技でしょうね。

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マストのトップも、難しそうなディテールですね。背景に映っているのがライオン門です。

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このネットは、マストで引っ張り上げてあるだけではなくて、真ん中あたりで引張り下ろしてある部分もあります。これによって、活荷重の変化にかかわらずにネットをぴんと張っているそうです。

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道路を渡り終わると、ローゼンシュタイン公園の林の中を降りていくスロープになります。

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林の中をぐにゃりと曲がって降りていきます。この部分の構造は、スパンの短い連続桁橋で、細い橋脚がたくさん建っています。

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地上に降りてくると、広大なローゼンシュタイン公園が広がります。

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橋を真下から見ると、橋床板がS字にうねっていることが分かります。また、信号機のアームをクリアするという条件も大変だったらしいです。

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橋の上から見ると、縦断曲線と平面曲線が組み合わさっていることが分かります。

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ネットの上の橋ですが、見た目から想像するよりは揺れません。
なお、シュライヒの作品集では、この橋の名前は Löwentor cable-net footbridge として、シュライヒの事務所のHomePageでは Bridge at Löwentor として紹介されています。カタカナではレーヴェントール歩道橋と標記されることもあるようです。

リンク:
Structurae

 
Category:ドイツ
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