2011.06.19 Sunday
キレスベルクタワー(Killesberg Tower)は、2001年に建設された、高さ43mの展望台です(今回は橋じゃないので番外編です(^^))。中心にある柱と、ネットで4層の床が支えられています。
先日紹介した「コッヘンホーフ通り歩道橋」からキレスベルクの公園に入ってくると、遠くにタワーが見えてきます。
キレスベルクは緑豊かな公園です。
公園の一番高い丘の上に、タワーが建っています。ここには、1950年に建設された古いタワーがあったそうで、Wikipediaドイツ語版に写真があります。このタワーは1974年に取り壊されています。
その後、1993年に国際園芸博覧会が開かれることになり、これまで紹介して来たシュライヒの一連の橋梁群と同時に新しいタワーが計画されます。
このタワーは、シュトゥットガルトのグリーンUの終点であるキレスベルクから街全体を眺めることのできる展望台として計画されたました。しかし、橋梁群は博覧会に間に合ったものの、このタワーは、政治と予算の都合で建設が先送りされてしまいます。(上の図の左上の黒丸がキレスベルクタワー。中央下部の四角形に細い線が5本つながっているところが中央駅)
そして、紆余曲折を経て2001年にタワーが完成しました。
地面から2Fのフロアまでの高さは8m。ネットに沿って螺旋状に階段を上っていきます。
ネットは地中にあるリング上の基礎に固定されているそうです。
階段は2カ所あって、こちらは上り専用です。この階段、高低差8mを結んでいるんですが、側桁は、外側に丸鋼管、内側にフラットバーがあるだけ。桁の延長は12mぐらいあるはずで、こんな丸鋼管だけで活荷重を支えられるとは思えないので….
ネットで吊ってあるんでしょうね。
こんなジョイントで大丈夫なのかなぁ(^^;) 反対側の側桁はフラットバーみたいだから階段に荷重がかかったら内側にねじれそうだし….
中央のマストも細くてすっきりしています。直径は50cm。
シュライヒのいつものディテール
下から見上げると、こうなっています。写真の一番外側に写っているのが2Fのフロア、真ん中に大きく見えているのが3Fのフロアです。
フロアとマストはこの梁で繋がっています。マストの座屈を防ぐ機能もあるんでしょうね。
階段を上って、2Fに到着。柵もワイヤでできています。
なにもかもワイヤとネット
さらに3Fへ
4Fへ
結構揺れるし、スケスケなので下を見ると怖いんです(^^;)
ここが頂上の4F。高さは、31m。
円形のフロアは階段の場所が切り欠いてあります。文献を読むと、この部分が構造的・美的にずいぶん検討されたそうです。つまり、フロアの外周には当然のこととして円形の梁がある訳なんですが、その梁をこの切り欠きの部分でどうするか、ということです。梁だけは1周つながっていてネットに接続され、床に扇形の穴があいている、という解もありえたはずですが、シュライヒは、梁も切り欠いて階段からの風景の連続性を選んだということです。
また、床板はエンボスのある鉄板でできていますが、これを格子状のグレーチングにするという案もあったそうです。さすがにそれは怖すぎるし(^^;)雨が下に落ちるという問題もあって、このような床仕上げになったということです。
マストの上には風見鶏がいます(^^) ここから放射状に24本のケーブルが延びて….
4Fのフロアから2mぐらいのたかさのところにある円形の梁を介して、48本のケーブルから成るネットにつながっています。
見晴らしは最高ですが....
真下を見ると、ビビります(^^;)
遠くに2つのタワーが見えます。左は1972年竣工の Stuttgarter Fernmeldeturm (Stuttgart Telecommunication Tower)、右は1956年竣工の Fernsehturm Stuttgart (TV Tower Stuttgart)。どちらもレオンハルトの作品です。
リンク:
Structurae
位置:
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Category:ドイツ