2011.06.29 Wednesday
この、とても透明感のある吊り橋、マックス・アイス・歩道橋(Max-Eyth-Steg)は、Stuttgartの北東の郊外のネッカー川に架かっています。メインスパン長は114m、設計はシュライヒ(Jörg Schlaich)です。
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川沿いにマックスアイス湖(Max-Eyth-See)という池と広大な公園があって、その公園と対岸を結ぶ橋です。マックスアイス湖は広々とした池です。
広々した芝生の広場もあって、憩いの場になっています。
公園の端に、橋が架かっています。
河畔林に隠れて、公園からは橋の全体は見えづらいんです。
川沿いの遊歩道が橋床板の下を抜けられるようになっています。橋床板の厚さは30cm、マストの高さは、こちら側は21.5m、直径は71cmだそうです。
橋桁は2つに分かれていて、その又のところにマストが立っています。
橋の下から見ると、こうなっています。
橋台部分の収まりも、きれいですね。メインケーブルは地中にアンカーされています。
緩やかにのぼっています。
橋の幅員は3.6m。メインケーブルは2本あって、両端のマストのところで1カ所にまとまり、地中アンカーに向かって再び広がっています。
公園側を振り返ると、左側の道は、公園の中の園路までゆるやかにつながっています。橋と園路を同時に線形設計したのでしょうか?スゴイ(^^)
右側の道はぐるりと回って川沿いの遊歩道につながります(上のGoogleMapの航空写真をアップにするとわかります)。
右側が公園側の河畔林、左側の急斜面はぶどう畑です。
ハンガーケーブルは、メインケーブルから等間隔で接続されています。
ピッチが同じなので、ハンガーケーブルの傾きはだんだん変わっています。
ハンガーケーブル同士の交点は、固定されていません。ニールセン・ローゼ橋などでは、交点が固定されているのが普通だと思うんですが、交点の金具が無い分だけ、橋全体の透明感が高いです。文献を読むと、交点でケーブルが摩擦しないようになっているそうです。
メインケーブルとハンガーケーブルを固定する鋳鉄製金具。ハンガーケーブルは、ここで輪になっていて、メインケーブルのあちら側とこちら側になります。メインケーブルの直径は106mm。ハンガーケーブルはたったの16mm。透明感高いはずですよね。
橋の端部では、ハンガーケーブルが2本1組の場所もあります。
床板とハンガーケーブルとの定着部
高欄もワイヤでできていて、ハンガーケーブルに固定されています。
高欄のトップレールも柱も無いことが、橋の透明感をいっそう高めています。そういえばキスルベルクタワーの高欄もワイヤとネットでできていました。
対岸では、橋床板は2股に分かれたりしないで、マストの横をすり抜けて行きます。
こちらも、川沿いに遊歩道があって、立体交差になっています。こちらのマストの高さは24.5m。
橋から降りてきた道は、ぐるっと回って川沿いの道へ続きます。このあたりのデザインも上手いですね。メインケーブルのアンカーをどこに、どの高さに取るか、この通路のデザインを先に考えて決めたんでしょうね。
優雅な曲線を描いています。
優美な橋です。橋の美しさをほめるときに「優美な」という形容詞を使いたいと思うのは、滅多に無いと思います。優美なものを目指していても、やっぱり重かったり固かったり強かったりする部分があるものなんですが、この橋は本当に優美(^^) 私は、シュライヒの橋の中ではこれが一番好きです。
ところでこの歩道橋の名前、GoogleMapでは「マックスアイトシュテク」って書いてあるんですが、マックスアイスのほうが発音に近いんじゃないかと思ってそう書きました。ドイツ語の得意な方、教えてくださいませ(^^;)
写真集:
Category:ドイツ